東京人形町の甘酒横丁入口にある玉英堂。
ガラス張りの店舗は近代的な造りですが、1576年京都創業の老舗です。
江戸時代、御所に「州浜(すはま)」という菓子を納めていた玉英堂。
大きな州浜紋が目を引く店頭です。
店内は撮影禁止のため残念ながらお見せできませんが、京都老舗の品格そのままに、品の良い和菓子が品良く並んでいます。
その中でも、開けてビックリ!なお饅頭をご紹介します。
見た目は、一般のお饅頭より大きめでまんまる。
直径6~7cmくらいでしょうか。高さもあります。
薯蕷(じょうよ)饅頭=皮生地に山芋を使った饅頭なので、触ると赤ちゃんの肌のようにぷにゅっとしています。
あまりに色白さんで艶々なので、しばらく眺めていても飽きません。
さあ、いよいよ切ってみましょう。
見てください、この断面。美しい!
真ん中に栗一粒、その周りを小豆色の粒あん、ピンク色の白あん、薄黄緑色の白あん、それらを真っ白な薯蕷生地で包み、色鮮やかな5層に仕上げています。
京菓子は、繊細で美しい色や形で季節を味わうものが多いですが、玉饅は割った時に初めて、外から見えない手の込んだ仕事を目にするものです。
これぞ日本の仕事という気がして、いただく度に職人さんへ思いを馳せる私。
5層になっているから5種の味がするわけではなく、一体化したとてもさっぱりとした甘みでペロッといただけます。
正式名は「お宝饅頭」。断面の美しさはもちろん、職人さんの丁寧な扱いといただく側の感動は、宝の名に相応しいです。
今回は白皮のものをご紹介しましたが、赤(店頭にあり)や薄緑の皮のものもあります。
用途に合わせて皮とあんの色を変えてくださるので、手土産のほか、お祝い事や仏事に利用される方も多いようです。
ちょっと贅沢に、美味しいお茶を淹れていただきたいお饅頭です。
【玉英堂(ぎょくえいどう)】
住 所:〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-3-2
電話番号:03-3666-2625
執 筆 者:加藤三和子