たくさんの種類の茹で小豆をめし上がっていただく。
世界の小豆食べ比べイベントは、おかげさまで38名様にお越しいただき、参加者さん同志のお話しでとても盛り上がった中、無事終えることができました。
参加してとてもよかった、と、帰り際にお声をかけてくださる方が多かったこのイベントの成功要因を振り返り、また、今後につなげたいことを整理しておきます。
よかったこと
成功要因は3つの大切なことが揃ったからだと考えました。
一つめ 条件を揃えて小豆を調理できたこと
小豆を扱う難しさ熟知しておられる方がおそろいいただいたゆえに、条件を揃えて小豆を茹で、砂糖を加えてまぜるところまでも一定条件というなかでできたものを、食べ比べるという環境にとても喜んでいただけたということです。
具体的には、シャープのヘルシオホットクックという電気無水調理鍋を7台同時に運用できる環境下で準備を行いました。
普通なら、小豆の種類や季節にあわせて、小豆の個性をひきだすために職人さんがつきっきりで炊く餡ですが、今回は小豆の個性を引き出すことは脇に置き、温度と時間とかきまぜ方もすべて条件をそろえてくれる自動調理器具をつかって、茹で小豆と、加糖した餡をつくりました。
鍋を同時に7個揃えてガスで炊く場をみつけることができたとしても、1人の人間が7つの鍋を同時に同じ様に面倒をみることができません。なので、「条件をそろえて準備する」というのは、電気自動調理鍋を使えたからと考えています。
二つめ 生産者、実需者、消費者の3者が、小豆を囲んで集えたこと
和菓子屋さんや、職人さん、和菓子研究家さんといった実需者さんだけでなく、各地からの生産者さんもお集まりいただき、そのうえ小豆に高い関心を寄せていただいている一般消費者として、たとえばフランスから来られた留学生さん、記者さん、お医者さん、発酵研究家さん、中国茶研究家さん、通訳さん、フランス出店のカフェ経営者さんなど、各分野のプロフェッショナルな方も参加いただき、「わたしたちの小豆と、小豆のある生活をみんなで今後もっと盛り上げていこう」という雰囲気が、会場いっぱいに満ちていました。
互いに初対面の方が多くお集まりだったのにもかかわらず、ご参加者様同士のシナジーが、あちらこちらで生まれる集まりになっていたのも、お越しいただいた皆さまに感謝です。
三つめ 沢山の小豆の産地にご協力いただけたこと
今回は、7つの小豆生産地域のみなさまにご協力いただけました。
- 京都産 京都大納言
- 北海道十勝産 きたのおとめ
- 北海道十勝産 えりもしょうず
- 島根産 出雲大納言
- 北海道十勝産 きたろまん
- カナダ産 えりも種小豆
- 中国産 天津小豆
生産者としては実はこのイベントは怖かったと、きたろまんを提供くださった、森田農場さんがイベント後におっしゃっていました。
大事に育てた子どものような小豆が、みなさんになんて言われるのだろうかと。
でも、実際、蓋をあけてみると、「ひいきの小豆があるのに、ブラインドテイストでは、わからなかった!」「難しい!」「ショック!」とおっしゃる声があちらこちらから。
食べ比べでは、産地名や、小豆の種類を最初はお伝えせず、7種類のゆで小豆と加糖小豆を食べ比べ、産地あてクイズに答えていただきました。
1時間あまりの間、みなさまとっても真剣に、40名様ちかくもおられるのに、シーンとした雰囲気で、世界の小豆食べ比べに取り組んでいただいていました。
食べ比べと、クイズの答え合わせがおわってから、参加者様にコメントを一言づついたたく時間があったなかで、こんな声をいただきました。
「節目節目に食べる馴染みの菓子の味と、自分の体感の味を、思いだしながらたべたが、小豆の味にこれほどひろがりがあるのをいままで考えたことがなかった。」
「ブランドにまどわされず、自分の味覚だけで小豆の味を味わえた時間が、よかった。」
「どれがいい、わるいではなく、うまみや、しぶみ、水気が、みんな違うのを初めてしった。この小豆は水羊羹があうなとか、この小豆はきんつばがあうなという考えが浮かんできた。」
「甘いものの展開だけでなく、甘くないゆでもおいしいとおもったので、甘くない小豆の展開も今後ひろまったらいい。」
「育った土の味がきっと、それぞれの味になっているのだと思うと、それぞれの産地の個性を大事にしたい。」
「日ごろ、たくさんの種類をそろえて食べ比べする機会がないので、とても貴重な体験だった」
日本各地には、在来種がたくさんありますし、また、世界でも小豆をつくっておられる産地があちこちにあります。
次は、また違った食べ比べもさらにご用意できたらいいなと考えております。
次につなげたいこと
2つのことを、課題にあげます。
課題1
小豆の産地ブランド化は誰の役にたつのか、どんなメリットがあると伝えるのかということについて、対話を重ねる。
イベント開催案内でこんな風にお伝えしていました。
「世界に「Azuki=小豆」の輪を広げていきたい!
そのためには、「小豆」にも、ワインのように微妙な味や香り、舌触りを表現して評価する試みが必要です。」
ワインやコーヒー、紅茶、オリーブオイルなどのように、産地や品種によって違う個性を楽しむ楽しみ方を小豆にも取り入れたいと考えています。
この「産地ごとの小豆の個性を味わう」ことを目指す活動は、小豆の美味しさに目覚める一般消費者を増やすことにはダイレクトに役立つものの、実需家のみなさまが現段階で抱えておられる経営課題の解決について、また違ったアプローチと連携が必要なのかとも考えさせられました。
3方よしを叶える活動に発展させていきたいです。
一緒に対話を勧めていただける方と、またお話しを深めていきたいです。
課題2
消費者がわかりやすく、生産者も、実需者も納得する小豆の味の評価方法を探す。
今回は、(株)A-netファーム十勝 専務取締役 森田里絵さんのご提案で、米の評価軸を、食べ比べクイズにとりいれています。
生産者、実需者、消費者に加え、販売者、卸など流通に携わる方もあわせて、小豆がもっと身近になる、小豆をもっと食べたいと思っていただけるような、「価格・ブランド」以外の軸を設定できるようにするには、どんな評価軸や評価項目をもうければいいのか、さらに模索してゆくことも、課題としてかかげたいです。
次回の小豆の食べ比べ会も、どうぞお楽しみに!
7月6日(土)のイベントに、お忙しいなかかけつけていただいたご参加のみなさま、場を一緒につくっていただけありがとうございました。
Special Thanks
★大事な子どものような小豆を提供いただきイベントにご協力くださった産地のみなさまに、厚く御礼を申し上げます。
京都府亀岡市 農事組合法人河原林のみなさま http://www.noujikumiaikawarabayashi.or.jp/
島根県 宍道湖西岸地区農村整備推進協議会、島根県東部農林振興センター、JAしまね出雲地区本部のみなさま
北海道十勝 株式会社A-netファーム十勝 森田農場のみなさま https://www.azukilife.com/
北海道十勝 JA十勝清水町のみなさま