小豆ともち米を蒸したものが赤飯です。
もち米は小豆を下ゆでした際の煮汁を浸水させます。
煮汁は冷ましてから浸水させるのですが、何度もひしゃくですくい、
酸化させてから浸水させます。
こうすると赤い色が濃くなり、美しい赤い色のご飯になります。
小豆入りの赤いご飯は神事や祝い事の席に食されてきました。
小豆を粥に入れて食べる習慣は古くからありました。
しかし、お赤飯が登場したいきさつは、別にありました。
昔は赤米(インディカ米)を常食し、、供物としても捧げていたので、江戸時代に入り、
供物や年貢米が食味のよい白米(ジャポニカ米)に変わっていっても、
魔よけの赤い色を継続させたいと、小豆と小豆の煮汁で赤く蒸すようになったのが、
今のお赤飯になります。
凶事の後の縁起直しにも、季節ごとにもお赤飯はお供えされるようになりました。
日本の絵本「おにたのぼうし」(あまんきみこ作)にも
お赤飯は春を祝う節分のごちそうとして登場します。
日本には、冬と春を分ける節分に玄関から固い豆を戸外に投げつけて
鬼を追い払う儀式があります。
「おにた」という鬼の子は、節分に住んでいた家を追い払われてしまいます。
まだ寒い2月の夜なのに、どの家にも鬼の目を刺すヒイラギが飾られていて、
おにたは入る事ができません。
しかし、一軒だけ豆まきもせず、ヒイラギもない家があります。
病気のお母さんと女の子の家でした。
母親の看病をする女の子の家は豆まきどころか、ご飯も食べられない貧しい家でした。
それを知ったおにたは、どこからか食べるものを手に入れてきます。
角を隠すために麦わら帽子を深くかぶって、はじめて人の前に姿をあらわした
おにたは「節分のごちそうが余ったんだ」
と女の子にお盆にのせた食べ物を差し出します。
その時にお盆にのっていた食べ物が「お赤飯」と「緑色の豆の甘煮」でした。
温かい赤いご飯に思わず微笑む女の子・・・
人に追い払われるおにた、冷たい水をくむ女の子、
悲しく寒い冷たい描写が続くなかで、
お赤飯を食べるこの場面だけが、ぬくもりを感じさせてくれます。
神聖な赤い色をしたこのお赤飯は、日本ではコンビニでおにぎりとして、
スーパーでもデリ惣菜として売られています。
手軽に日本古来の定番メニューであるパワーフードをお楽しみいただけます。
お赤飯はぜひ、温かくしてお召し上がりくださいね。