京都でつくっている菓子を、京菓子といいます。
だから、菓子を京都でつくっていても、材料は、さまざまなところからやってきます。
そんななか、京都産の大納言小豆をつかった菓子づくりにこだわっておられる和菓子屋さんがあると、京都大納言の生産者さんからお聞きしました。
ぷっくり大きな大納言小豆をつかった菓子なんて、見るだけでも贅沢気分を味わえそう。
そうおもって、菓子製造と、菓子教室がおこなわれる、あずきの里の工房へうかがいました。
お話しくださったのは、あずきの里株式会社 京菓子ふじ幸、代表取締役 藤田幸雄さんです。
地産地製を提唱するわけ
ふじ幸さんは、京都大納言の里、河原林に位置する和菓子屋さんです。
京都大納言の生産地のど真ん中で、京都大納言をつかった菓子を作っておられます。
当たり前のことのようにおもわれるかもしれませんが、京菓子をささえる側面からみると、とても大きな意味があります。
それは、小豆が育ったところの水をつかって餡をたき、菓子にできるのは、ここ亀岡の河原林でしかできないからです。
お米も、産地の水を使うとおいしいといいます。
各産地で育てられる水稲の品種が違うこと以上に、各産地のあいだの水がそれぞれ違うから、カニ穴ができるご飯や、粒が立つご飯があり、地域ごとに炊きあがりの特徴も違います。
米が育つ水が、米の味も決めているというのは、日本人ならだれでも知っています。
小豆も、米と同じ穀物です。
ならばと、小豆も、育った畑の水と同じ水をつかって炊いてみたところ、京都大納言らしい味がより引き立つことを、藤田さんはみつけられました。
そこで、藤田さんは、「育ったところの水をつかって菓子をつくる」ことの意義を伝えたいと、「地産地製」という言葉を新しく掲げ、京都大納言小豆が育った水で餡をつくり、菓子づくりをされています。
いちばん人気の菓子
いちばん人気は、やっぱり、きんつば。
ただ、小豆がぎゅっと詰まっているというだけでなく、手でふたつにちぎり割ってみると、京都大納言の粒のつやつや感と、大きな粒のかたまりがはっきりみえ、食べるのがもったいないぐらいの満足した気持ちになれます。
京菓子を支える気持ち
京都で菓子をつくったら、京菓子です。
そのなかで、京菓子というブランドに甘えず、おいしい菓子をつくることを追求したら、どうしても、材料の産地をえらぶことにゆきつくのだそうです。
たとえば、豆の卸やさんも、菓子屋の集まりなどで、いろんな豆をご紹介くださるそうです。
ですが、安いものに手をだしたら、あいつのところは安い豆をつかっていると、すぐ広まってしまううえに、お客さんの口にもすぐわかってしまって、結局、京都のなかで菓子屋の信用を失ってしまいます。
それだけでなく、もし、京菓子をたべて美味しくないというお客さんがいたら、京都そのものも信用をも失ってしまいます。
京都は、外からくる方が多い観光の街です。
藤田さんは、京都の信用を保ちつづけ、京都がみなからあこがれられる文化の街でありつづけるたいという想いも込めて、地元産小豆を地元の水をつかって餡を炊いおられます。
京菓子は、こうやって、京菓子を愛して支えるひとの気持ちがあるから、京菓子でありつづけるんだなと感じました。
地産地製の京都大納言の菓子を食べたいときは、ぜひ、亀岡までいらしてくださいね。
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(紹介)おはなしくださったのは
京菓子 ふじ幸
あずきの里 株式会社
代表取締役 藤田幸雄様
〒621-0007 京都府亀岡市河原林町高野垣内47-1
tel.0771-23-3570
http://azukinosato.com