京都最古の神社、上賀茂神社には神馬がいます。日曜、祭日には境内の神馬舎に本物の白馬がいるのです。
建物はあっても馬がいなかったり、作り物の白馬がいたりするのは見たことがありますが、本物の白馬を見たのはここが初めてだったので、最初はびっくりしました。白馬って美しいものですねえ。
そうして5月5日には「賀茂くらべ馬」という、2頭の馬が走りを競い、豊穣を祈願するという行事もあります。あの「徒然草」にも登場する行事だとか。新緑の眩しい境内を二頭の馬が駆け抜けていく様は迫力満点。実に清々しい行事です。
こんな風に、馬と神社と言えば上賀茂神社、と思ってしまう私です。そしてそれを裏付けるように、門前には「神馬堂」という焼餅屋さんがあるのです。
しかし…!!
私はこれまで何度も上賀茂神社に行ったことがありますが、ここの焼餅を食べたことがないのです。いや、お店が開いているのを見た事さえも、ない。
どうやら人気すぎて、午前中には売り切れてお店を閉めてしまうようです。
うう~む。上賀茂神社は我が家からはちょっと遠くて、午前中に行くのは難しい…。
そんなこんなで、ここのお菓子はほぼ諦めていたのですが、なんと!
夕方、ぶらっと大丸の地下に行ったらそこに、あの神馬堂の焼餅が並んでいました!!
見て下さいこのパッケージ。なんて素敵なんでしょう。もうほとんどジャケ買いです。
包み紙を開くとこんな感じ。
何という味わい深い文字でしょう!!
こういう、衒いのない感じが、京都の人は大好きなんですよね~。ちなみに包装紙の全体はこんなデザイン。
お餅は焼餅と言うだけあって、ペタンとした形です。うっすら焦げ目のついたお餅の向こうにあんこが透けて見えています。
半分に切ってみると、中から柔らかい粒あんが、とろりと出てきました。とても小豆の色が濃いです。
こんなに薄いお餅に、この柔らかなあんこがしっかり包まれていたのかと驚きました。
さて食べてみます。お餅にはほとんど味がありません。焼いてあるのでもちもちした感じというよりは、ぷちりと噛み切れる食感です。粒あんは、やはりあっさりした甘みで、その甘みは小豆の風味を引き立てるためにあるといった感じがします。
そうして、焼けて水分の抜けたお餅の食感と香ばしさ、水分たっぷりの柔らかいあんこ、お餅本来の甘みと小豆の甘みが一体になると、何ともいえない、しっかりした「焼餅」の味になるのです。これは、デザートと言うよりはちょっとした軽食ではないかと私は思いました。
原材料は小豆、砂糖、もち米。今回は初めてだったので、まずはそのまま食べてみましたが、次は温めて食べてみようと思います。そしていつかは出来たてを食べてみたいですね。きっと今回とは味わいが違うと思うから。
〈神馬堂〉
住所 京都府京都市北区上賀茂御薗口町4
電話 075-781-1377