お江戸日本橋は、和菓子店や甘味処、全国の有名菓子が集結するデパートやテナントビルがたくさんあり、甘いもの好きには誘惑の多い町です。
再開発が進む中、人形町界隈はまだ昭和の香りがする路地や店が多く、下町情緒の雰囲気が残っています。
近くには安産の神様水天宮や明治座、甘酒横丁などがあり、多くの方が訪れます。
ここ人形町に、1837年創業の江戸時代から180年続く老舗、甘味処初音はあります。
東京メトロ日比谷線人形町駅または半蔵門線水天宮駅から徒歩約2分。
人形町の通りに面したビルの1階、レトロな入口が目に留まります。
木のテーブルと椅子が並び、外光を取り込んで照明をやや落としたくつろぎの店内。
ここで本を読みながら、注文を繰り返して長居したいです。
奥には茶釜があり、そこで沸かしたお湯でお茶を淹れてくださいます。
初音では、夏には必ず「冷やしあづき」(店の表記に倣う)を注文します。
材料にこだわった自家製寒天・自家製黒蜜のあんみつも看板ですが、私はあづき一筋。
冷たい「冷やしあづき」も温かい「煮あづき」も通年メニューです。
あっという間に出てきそうですが、5分ちょっと待つでしょうか。
「注文が入ってから白玉を茹でておりまして、お待たせいたしました。」とお店の方が丁寧に運んできてくださった、丁寧な手仕事の冷やしあづきです。
選りすぐりの北海道産小豆を使った自家製あん。
軟らかいのに少しの煮崩れもなく、一粒一粒の輝きが宝石みたい。
甘過ぎず甘くなさ過ぎずの絶妙な甘み加減が、私の初音びいきの理由。
茹でたてのまんまる白玉は、プリプリつやつやモチモチ。
実は大して白玉好きではないのですが、こちらの白玉は「くださーい!」とお願いしたいくらい、味も舌触りも数も小豆とのバランスがよく絶品です。
かき込みたい気持ちを抑え、小さなスプーンでゆっくり味わいながらいただきます。
一口運ぶ度に「ん~!」と小さく声を上げていることに途中で気づきました(笑)。
いつ食べても変わらぬ旨さを守り続ける、老舗の自信と誇りが感じられる初音。
また伺います。
【甘味処 初音(はつね)】
住 所:〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町1-15-6
電話番号:03-3666-3082
執 筆 者:加藤三和子