いがまんじゅうは、埼玉県県北(鴻巣市・羽生市・加須市・久喜市あたり)で古くから親しまれている郷土菓子です。
一見赤飯おにぎりのようですが、赤飯の下はあん入りのまんじゅうです。
農林水産省選定の全国郷土菓子百選に選ばれ、祭りや祝い事の縁起物として地域に喜ばれています。
羽生市出身の友人に「是非食べてもらいたい」と以前から勧められていた いがまんじゅう。
まんじゅうも赤飯も大好物だけど、一緒に食べるとはどういうこと?
とても興味深いけれど、残念なことに現地へ出向かないと手に入らず、見送り状態となっていました。
ところが先日、思わぬところでそのチャンスが巡ってきました。
友人達とバスツアーで栃木県へ向かう途中、東北自動車道羽生PAで休憩をとることに。
友人がすぐに「売店にある」と検索してくれたので小走りに直行。
正午頃でしたが残り7個。手に入れられたのはラッキーでした。
“いが”と名付けられたのは、「まぶした赤飯が栗のいがと似ているから」とのこと。
まんじゅうと赤飯をなぜ合体させたかについては、
もち米が貴重だったのでボリュームを出すため、農家のお嫁さんの手間を省くため、農作業の合間に一度で食べられるため、など諸説あるようです。
元々店の商品だったのではなく、農村の家庭で作られていたものだそうです。
恐る恐る一口食べてみたところ、不思議なことに全く違和感がありません。
赤飯の粒や香りが口に残ることもなく、皮と一体化しています。
ふかふかの皮の中のあんは甘さ控えめ。
赤飯もあんも主張し過ぎず、少しずつの引き算がとてもよい塩梅(あんばい)です。
たしかにこれは、おにぎりに比べてもち米の量を抑えられ、ボリュームもあり、忙しい農家の方の手が省け、農作業の合間に簡単に食べられます。
合理性から生まれた穀倉地帯の郷土菓子。おもしろいですね。
友人によると、赤飯が多いもの・少ないもの、つぶあんのもの・こしあんのものなど、店により異なるとのこと。
食べ比べて好みのタイプを見つけるのも楽しそうです。
私が今回いただいたのは、赤飯少なめのつぶあんタイプ。
小麦粉は埼玉県産、もち米は羽生市産であることに地元愛を感じます。
いがまんじゅうを製造販売している店舗はいくつかあるようですが、
ここでは羽生PAで購入したものをご紹介するに留めます。
埼玉県県北方面を訪れる機会がありましたら、是非召し上がってみてください。
和菓子の世界が広がること間違いなしです。
【コスモス工房】
住 所:〒348-0011 埼玉県羽生市三田ヶ谷1725
電話番号:048-565-5434
執 筆 者:加藤三和子