「汁粉は飲むものか?食うものか?」
の談義をされたのは、文豪 芥川龍之介と久保田万次郎でした。
芥川龍之介は、お汁粉を好んで召し上がったようで、
東京のご贔屓のお店もいくつか随筆等で紹介されています。
東京上野の「常磐」はお気に入りだったようですが、東京大震災で焼失し、
それきり復活はしなかったようです。
常磐の汁粉は白餡のお汁粉だったそうですが、
なかなか白餡のお汁粉を頂けるお店は都内にはありません。
汁粉は食べるもの、というのが、芥川龍之介の見解であったようです。
飲むというにはあまりにも存在感のある汁で
満足感が高かったからなのではないでしょうか?
お汁粉の発祥は、出雲大社の神々に捧げる「神在餅(じんざいもち)」とも、
江戸時代の初期の「料理物語」には塩味の「すすりだんご」が
小豆と餅を煮たもので、宴会の間食に供された ともあり、
もともとは塩味の汁物であったようです。
また関西ではお汁粉は、こしあんの汁物に餅をいれたもので、
粒あんの汁物はぜんざいと呼びます。
関東では、小豆の甘い汁物は汁粉と統一され、粒あんは田舎汁粉と呼ばれます。
関東でぜんざいとは、汁物ではなく餅に小豆餡をかけたものになります。
関西で餅に小豆餡をかけたものは、亀山と呼ばれます。
「どツちだっていゝぢやアないかそんなこと」というより他ないと
久保田万次郎氏は書いておられましたが、
やはり汁粉は飲むものではなく、「食うもの」ではないかと思うのは、
お汁粉は飲むというにはあまりに甘く、心もお腹も満たされるから、なのです。
空腹の時、本当に疲れた時に、甘いお汁粉がほしくなりませんか?
小豆には、脳にぶどう糖を素早く吸収しやすくしてくれるビタミンB1を多く含んでいます。
ポリフェノールや食物繊維の豊富なこともありますが
温かいお汁粉をすすることで、生き返ったような心持ちになります。
現代でも、受験生や脳を使う仕事の方には、ぜひあったかいお汁粉でホッと一息、
栄養補給していただきたくのがいいと思います。
こちらは虎屋の白あんのお汁粉です。希少な白小豆を使っています。
季節限定になりますが、文豪も好んだ白いお汁粉も試してみては
いかがでしょうか?