2016年11月、パリで唯一、自家製餡で和菓子を提供する菓子店がオープンしました。
Patisserie TOMOといいます。餡を練っておられるのは、和菓子職人・シェフの村田崇徳さん。
2017年1月、TOMOさんに行ってきました。
平日の昼下がり、30席ほどの広さの店内は、つぎつぎ入ってこられるフランス人のお客様でいっぱいです。
お店の看板メニューである、どら焼きと抹茶を頼みました。
ですが、周りをみわたしてみたら、なんと、あのテーブルでもこちらのテーブルでも、お一人づつ前に置かれている皿の上に、和菓子が2つも3つも盛られています。
最初、菓子を一皿にたくさんもっているのは、テーブルの二人でシェアしているのかと思おうとしました。でも、やっばり違いました。
お一人づつの皿の上に、和菓子が3個も盛られているのです。
わたしのなかでは、菓子店のイートインで頼む菓子の種類は、1種類があたりまえで、皿に盛ってもらうのは1個と決まっていました。
お茶席でいただく和菓子も、懐紙の上に載せていいのは1個だけです。
洋菓子店でも、注文するのは1個とおもっているからあれにしようかこれにしようかすごく悩むわけです。
なのに、隣の席も、あちらの席も、和菓子を3つも一度に頼むなんて!
プレーンなどら焼きにするか、生菓子にするか、レモン味のどら焼き風菓子にするか、どれにしようかなど悩まず、食べたいものを皿にのせられる光景をみて、羨ましい気持ちになりました。
でも、このとき、わたしは、たくさん皿に盛るんだなあぐらいにしかおもっていなかったのです。
別の日、パリ郊外の地下鉄をあがったところにある、地元の方が集まるcaféに入る機会がありました。ちょうどブランチとランチが重なる時間で、家族で囲むテーブルには、卵料理といっしょに、一つの皿の上にたくさんペストリーが載せられていて、それが、一人一人の前に置かれているのをまた目にしました。
あれ、パリでは、甘いものを食べる時、一度に、一皿にたくさん盛ってもいいのか、とそこで気づきました。
そして同時に、一度につき皿に一つしか甘いものを頼んではいけないと思い込んでいる自分を、わたしはみつけてしまいました。
パリでは、甘いものは、食べたいだけ一度に頼んでいい。
甘いもの好きにはたまりませんね。
そんな、がまんしない甘いものの食べ方をみて、ふと思いました。
日本にある和菓子店も、こんなおしゃれなイートインやカフェスペースがあるお店が増えるといいなあ。
そして、一人で皿に何個も違う種類の和菓子をのせて食べていい、それは恥ずかしくないこと、という文化が根づけば、和菓子の消費量ももっとあがるのにと。
カフェで一皿に何個も和菓子を盛る文化を見たことが、パリと和菓子でとてもインパクトの大きなことでした。
和菓子も、ペストリーと同じと思って食べてもらえているとも感じられ、嬉しかったです。
Patisserie TOMO
11 rue Chabanais, 75002 Paris
TOMOは、ちょっとかわったおしゃれで美味しいものを探す人が歩くOpera界隈にあります。
http://www.patisserietomo.fr/